

横隔膜は胸とおなかを仕切っている膜です。ただし完全に閉じられているわけではなく、大動脈・大静脈と、食道が通る穴が開いています。このうち、食道が通るために横隔膜に開いている穴を食道裂孔と呼びます。この食道裂孔に胃がはみ出してくると、食道裂孔ヘルニアになります。食道裂孔ヘルニアは、胃のはみ出し方によってさらに3種類に分けられます。
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食道裂孔ヘルニアの原因はほとんどの場合、先天性の場合と、加齢によるものの2種類に限定されます。そのため、幼児期までの子供か、逆に高齢の人に起こることが多いのが特徴になります。それでは原因についてもう少し詳しく話してみましょう。
横隔膜は膜という言い方をしますが、呼吸するために強力な力を持っています。ところが、生まれつき食道裂孔そのものが緩かったり、締め付け力が弱かったりと言う人がいます。
こういう人は生まれつき食道裂孔ヘルニアになっているか、後からちょっとした衝撃で胃が脱出することがあるわけです。横隔膜ヘルニアのページでも紹介しましたが、生まれつきの原因によって、症状(この場合はヘルニア)を起こすことを遅発性といいます。

食道裂孔ヘルニアの大半を占める滑脱型の場合、自覚症状はあまりなく、せいぜい特にかがむなど前傾姿勢をとると強く時なる胸焼けや、息苦しい気がすると言った程度のものです。さて、横隔膜には胃の入り口(噴門)を横隔膜の締め付けによって塞ぐ働きもあります。
ところが食道裂孔ヘルニアになると、噴門が横隔膜の上に飛び出てしまい、噴門が上手く働けなくなります。すると、胃酸が食道のほうに逆流し、自分の胃酸で自分の食道を焼く逆流性食道炎を引き起こしたり、噴門がんや食道がんの遠因になったりします。
ですから、食道裂孔ヘルニア場合はヘルニアそのものより、ヘルニアが原因になって起きる合併症のほうが怖いものです。なお同じ食道裂孔ヘルニアでも、胃酸は若い人の方が強力に分泌されますから、若い人の症状のほうが重くなる傾向があります。胃酸を抑える薬は合併症を防ぐ意味でも効果的です。

傍食道型も滑脱型と同様の症状を示します。その他にも滑脱型ヘルニアの場合ならヘルニア自体にはそれほど危険性はありません。ですが傍食道型になると、横隔膜が胃を締め付けてしまうので、締め付けられた胃が出血してしまったり、逆に血の巡りが悪くなったりします。程度にもよりますが、滑脱型より危険度が高く、自然に治癒する事は難しい事や、合併症を未然に防ぐことなどの理由で、手術で治すことが多いようです。手術後の治癒率は良好です。

食道裂孔ヘルニアは、どちらかと言うと女性に多く、特に加齢によるものであればさらに女性の割合が増えます。また、重力と言うものがありますので、きちんとまっすぐ立つ人より、普段から前かがみで歩くような人のほうが発症しやすいと言うデータもあります。
一番症状が軽い滑脱型でも胃酸の分泌を抑える薬をずっと飲み続ける必要がありますし、どうしても治したければ手術しなければならないなど、生活の足かせになってしまいます。せめて予防のために姿勢くらいはしゃきっとしておきたいものですね。蛇足ですが、姿勢が悪いと胃酸が逆流しやすいと言うことも覚えておくといいでしょう。
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