

横隔膜ヘルニアを紹介するために、おおまかに横隔膜というものの構造を理解しないとこれからの説明がわかりにくいと思いますので、簡単に紹介しておきますね。横隔膜は胸とおなかを区切る薄い膜で、呼吸するときにはこの膜が上下し、呼吸します。
勘違いしやすいのですが、肺は酸素を血管に受け渡すところであって、外から空気を取り入れるときにはほとんど何もしません。ところで、横隔膜はおなかと胸の区切りですが、全面に張られていては、食道などが通れませんね。そのため横隔膜には太い血管を通す穴(大動脈孔と大静脈孔の2本)と食道を通す穴で3つの穴が開いています。この穴がヘルニアの主な原因になります。
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横隔膜ヘルニアには、外傷性に起因とするものと、そうでない非外傷性のもの(先天性を含む)が有ります。さらに非外傷性は、部位などによって次の3つの種類に分かれます。
横隔膜は、呼吸のために胸の気圧を管理しています。つまり、膜が下がると空気を吸い込み、上がると空気を吐き出すのです。ところが胸に強い打撃を受けると、排気が間に合わずに横隔膜そのものが裂けることがあります。
風船を踏みつけたら割れるようなものですね。横隔膜が裂けると、今まで横隔膜によって区切られていた臓器がはみ出ることがあり、これを外傷性横隔膜ヘルニアと呼んでいます。
非外傷性横隔膜ヘルニアには、ほぼ先天性でしか見られないボックダレック孔ヘルニア、傍胸骨孔ヘルニア(ぼうきょうこつこう)ヘルニアの2種と、後からでもなる可能性が高い食道裂孔ヘルニアがあります。
そのうち傍胸骨孔ヘルニアは、本来しっかりと胸骨にくっついているはずの横隔膜のつながりが弱く、そこに臓器が侵入してくることによって起こるヘルニアです。自覚症状も少なく、治療も簡単なのでさほど心配は要りません。
ボックダレック孔ヘルニアはほぼ先天性でしか発見されません。しかし時々、生まれたときはなんともなかったのに成長してから強い咳をしたり、胸に打撲を受けたりすると発症することもあります。これを遅発性といいます。
このボックダレック孔ヘルニアは、新生児がすぐに呼吸困難などの症状を呈してしまうと、半数は予後不良を起こすと言うかなり怖いヘルニアです。しかし、遅発性であれば、すみやかに手当てを受ければほぼ助かります。

横隔膜ヘルニアにかかる原因は、生まれつきのもの、外傷によるもの、生活習慣によるものなどが有ります。順にみてみましょう。
赤ちゃんがおなかにいるとき、次第に横隔膜が形成されてきて、やがてしっかりと横隔膜が胸とお腹を区切るのですが、このとき何らかの原因で横隔膜がきっちりと閉じきらないことがあります。
こうなるとヘルニアを起こしてしまい、横隔膜が閉じようとしても脱出した臓器が邪魔をして閉じられなくなってしまうのです。これがボックダレック孔ヘルニアの原因です。生まれたときになんともなくても、後からなんらかの理由によりボックダレック孔ヘルニアを起こすことがあるのは先に述べたとおりです。

横隔膜ヘルニアは、種類によってまったく症状が異なってきますので、それぞれについて症状を紹介してみましょう。
ボックダレック孔ヘルニアの場合、最大の症状は横隔膜の動きを邪魔されることによる呼吸困難が挙げられます。胎児の場合はへその緒から酸素を貰っているので平気なのですが、出産後は自分で呼吸しなければなりません。
そのため生まれてすぐにこの症状を起こすことが多くなります。また、お腹に上手く空気が回らないので、凹んでいるのも特徴です。脱出した臓器によって肺が圧迫されているため、肺の生育不良や疾患を伴っていることもあり、緊急処置を行う必要があります。

横隔膜は呼吸に直結している部分ですので、はみ出てきた臓器そのものによる症状よりも、でてきた臓器によって横隔膜の動きが妨げられるほうが怖いものです。いきなり強い症状が出ることが多く、その上大抵の場合呼吸困難を伴うので、充分に注意が必要です。胸を強打したあと呼吸が苦しいなどの症状がでたら、外傷性横隔膜ヘルニアの疑いもありますので、早めに病院に行くことを強くすすめます。
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